古代のアナーキズム

アナーキズムはいつからあったのか?

有史以前の社会には、階級はなかった。人間は数千年~数万年の間、権威による支配、政治階級による支配とは無縁だった。ひとびとは自主的な、自助的な共同体のなかで生きてきた。これが大半の人類学者の見立てである。

アナーキストが生まれたのは政治機関の誕生や社会関係の階級化に対する拒絶反応による。したがって、政治や階級があるところにはアナーキズムが存在した。

社会の階級化によって誕生した古代のアナーキストを検証したい。

古代中国

古代中国で生まれた道教は、アナーキストによって受け入れられてきた。道教家の老子と荘子の哲学は反政治的であり、あらゆる種類の政治的運動や政治組織を拒絶し、『荘子』『老子』(書名)において「無法」の哲学を発展させ、多くの道教家がアナーキストの生活を送った。西暦300年、鮑敬言は領主も臣民もあるべきではないと断言した。

小國寡民。使有什伯之器而不用;使民重死而不遠徙。雖有舟輿,無所乘之,雖有甲兵,無所陳之。使民復結繩而用之,甘其食,美其服,安其居,樂其俗。鄰國相望,雞犬之聲相聞,民至老死,不相往來(— 道德經80)

老子が言う小国寡民の国。そこでは兵器などあっても使われることは無く、死を賭して遠方へ向かわせる事も無い。船や車も用いられず、甲冑を着て戦う事もないと、戦乱の無い世界を描く。民衆の生活についても、文字を用いず縄の結び目を通信に使う程度で充分足り、料理も衣服も住居も自給自足で賄い、それを楽しむ社会であるという。隣の国との関係は、せいぜい鶏や犬の鳴き声がかすかに聞こえる程度の距離ながら、一生の中で往来する機会なども無いという。(Wikipedia – 老子より)

 

「何をか道と謂う。天道有り、人道有り。無為にして尊き者は天道なり。有為にしてわずらわしき者は人道なり。主なる者は天道なり、臣なる者は人道なり」(荘子)

 

古代ギリシャ

「最良のアナーキスト哲学の解説者は古代ギリシャにある」と二〇世紀のアナーキストであるピータークロポトキンは言う。

例えばストア派哲学の始祖であるゼノンや、賢者は自由を国家に放棄するべきではないとするアリスティッポスがいる。

「anarchia」や「anarchos」といった言葉の用法は、いずれも「支配者なしに」という意味であり、由来はホーマーのイリアドや、ヘロドトスの「歴史」まで遡れる。政治用語として「アナーキー」が登場するのは、紀元前467年のアイスキュロスによる演劇「テーバイ攻めの七将」に用いられている。そこでは、アンティゴネーは、テーバイ侵攻の罪として兄であるポリュネイケースの遺体を埋めずに放置しろと言う支配者の命令を公然と拒否してこう言う。「だれも彼を埋葬する気がなくても、私は彼を一人で埋めるでしょう。私は支配者に背くことを恥じません(ギリシャ語でanarkhianという言葉が含まれる)」

ディオゲネス 紀元前412年 – 紀元前323年

古代ギリシャはまた哲学的理想としてのアナーキズムの最初の例である。シノペのディオゲネスとテーバイのクラテスは文献が少ないものの、ともに社会のアナーキスティックな構造を提唱していた。

ディオゲネスはアンティステネスの弟子で、ソクラテスの孫弟子に当たる。

彼は個々人のふるまいにおける卓越性や自己管理の重要性を信じていた。また人生に不要であるとみなされた個人の富や社会的階級を拒絶し、ポリスという国家社会に依存しない生き方を理想とした。

彼にとって、正当な人生とは自然と自己の生まれ持った性質に従って生きることだった。自分自身に真実であることは、外部からいかに「気狂い」のように見られたとしても、生きるに値し、追い求めるべき人生であると考えたのである。

昼間に行灯をさげて、「私は人間を探しているのだ」と言ったエピソードが有名(Diogenes Laërtius)。

ゼノン(キュティオン)  紀元前335年 – 紀元前263年

ゼノンはストア派の創始者である。犬儒派の影響を受けた彼は、愛に基づくコスモポリタン的な社会ビジョンを描いている。

クロポトキンの要約では、ゼノンの思想はこうだ。「国家の権力と、その介入と統制を否定し、個人の道徳法における主権を宣言した」。ゼノンの思想は断片的にしか現代に残っていないが、著書『国家』では、国家構造を棄却する一種のアナーキズムを提唱している。同じギリシャ哲学のなかでもプラトンの国家論とは逆に、自由なコミュニティを理想としている。

ゼノンは人間にはしばしば人をエゴティズムに導く自己保存を持っている一方で、自然はそれとバランスをとれるような「社会性」を与えたとしている。多くのアナーキストと同様、ゼノンはもし人々が自らの本能に従うようであれば、法廷や警察、教会は不要であると信じていた。また、金銭の使用もなくなると彼は考えていた。金銭授受の代わりに自由な贈与が行われるようになるという。ゼノンは男女平等をも提唱する。男女が同じ服を着るべきだ、と彼は言う。

まとめ

随時追加していきます。宗教におけるアナーキズムも作っていきたい。

日本のアナーキズム史はこちら

 

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