Conformismとは何か

日本人の同調圧力は、「和の精神」とか「島国根性」「農耕社会」ではなくて、単なるconformismじゃないの? と思ったので調べた。

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和の精神=同調圧力なるものは、英語でいうconformismそのままではないのか、というのが最近の興味。conformismという単語の訳は難しい。conformは慣例や集団基準に合致する、社会通念を守ったふるまいをする、といった意味合い。

Weblioでは「(法律・慣行などに)従う人、遵奉(じゆんぽう)者、(むやみな)順応者」などと訳されている。が、どれもいまいちなので文中ではそのまま英語にしている。

さてconformismについては、ノートルダム大学の社会学者、Richard Williams氏のサイトがとてもよくまとまっていたので拝借して、以下に翻訳を書いておく。

1. 定義

1.Conformity=実在する、あるいは想像上の集団的圧力の結果ふるまいや信条を変えること。

2. Conformityの種類

A. 遵守(Compliance)

個人としては不同意にもかかわらず、社会的な抑圧に合わせて変更された公的なふるまい。この言葉は報酬を獲得すること、罰を避けることに動機づけられる個人のふるまいを表現する上で最適である。

B. 自己同一化(identification)

報酬や処罰といった本能に基づくComplianceによっては、私たちは特有のふるまいをすることがない。私たちが特定の行動をとるのは、自己を帰属させている個人や集団と充足した関係を維持するためだ。露骨ではないが、私たちは適応した価値観や意見を信じがちになる。私たちは特定の人物になりたがる。

Ex. 父親のようになりたい。

C. 内部化(受容):Internalization (or acceptance)

社会的な圧力に同意しながら、さらにその行動を信じること。内部化はもっとも永続的で、深く根を張った社会的影響の反応である。内部化は正しくあろうとする欲望に動機づけられる。もしある人物が信頼でき、よい判断をするとみなされると、私たちはその人が主張する信念を受けいれ、自己をその信念システムに統合する。

D.3つのconformityの比較

1.「遵守は個人に対して、もっとも微弱で短時間的な効果しか持たない。なぜなら人は単に報酬や処罰にのみ従うわけではないからだ。罰と報酬は人々に特定の活動を習得させ、それを実行させる上ではとても重要だが、効果的に運用されるためにはつねに処罰と報酬を用意しなければならない。したがって、社会的影響の手段としては限定的なものである――ふるまいを続けるなにか追加の理由を個人が発見しない限りは(???)(ママ)

2.持続的な報酬と処罰は「自己同一化」に必要ではない。個人が「あの人のようになりたい」と欲望するようになればよいだけだ。「あの人」が重要人物であり続け、同じ信念を持ち続け、より確実な意見に打ち負かされないかぎり、その人物と同様の信念を持ち続けるだろう。もし彼の信念が変わったり、その人の重要性がなくなったら、信念は変わることがある。また、より重要な人物の異なる信念によって変わることがある。「自己同一化」の効果は正しくあろうとすることによって消散することがある。

3.「内部化」は社会的影響に対する、もっとも永続的な反応だ。正しくあろうとする動機は、力強く自己維持力的であり、(「遵守」のような)継続的な監視や、(「自己同一化」のような)他者や集団に対する高い評価を維持する必要がない。

4.「遵守」においては、重要な要素は「権力」だ。報酬や処罰を与える影響者の権力が重要となる。一方「自己同一化」においては、核心的な要素は「魅力」である。私達が同一化したいようなある人物の魅力が重要となる。なぜなら私たちはその人物と同一化したとき、その人物と同じ意見を持ちたいと思うようになるからだ。「内部化」において、核心的な要素は「信頼」だ。情報提供者に対する信頼が重要となる。

5.3つのうちいずれもが行動を決定する。Aschの研究では、被験者が軽蔑や拒絶といった処罰を恐れ、集団と一致した意見に従う傾向が明らかに見られた。もし「自己同一化」と「内部化」の影響があれば、慣習に従う傾向は個人的生活にも及ぶだろう(この研究では隔離された環境と意見が違った)。

6.状況によって「遵守」や「自己同一化」によるconformityの永続性を高めることができる。もともと「遵守」がもたらした根源がなくなっても、規則を守る傾向が続くことがある。例えば、スピード規制が規制緩和されたときでも人々は以前の速度のまま走った。

3.なぜconformするのか?

A. 情報的影響

他者の行動が私たちに自分の判断が間違っていると確信させる。集団のふるまいは、何が期待されるかについての価値ある情報を提供する。

B. 罰(拒絶や嘲笑)を避けたい、報酬を獲得したいといった願望

私たちは社会的なイメージや社会的な結果を重視している。

C. 集団が独立行動に対して設ける障壁

1.集団内の他の成員に拒絶されるリスク。人と違いすぎると、個人は拒絶のリスクを負う。

2.代替手段の認識の欠如。成員はconformityの他に選択肢がないと誤認してしまう。

3.グループの行動をかき乱すことの恐怖。人々は集団の目標を邪魔するのではないかと思い、独立することを恐れる。

4.他の成員とのコミュニケーションの欠如
他者がconformではないふるまいをしているという情報が欠如すると、人々はリスクを避けるようになる。

5.集団の結果に責任を感じていない。
conformなメンバーは、目標達成を阻害することがある。集団の成功や失敗に個人的な責任を感じていない場合は特に、状況を改善するようイニシエーションを働きかけることに消極的である。

6.無力感
ある個人が状況を変えられないと感じたら、彼はなにも新しいことを試みなくなる可能性が高い。このアパシー(無気力)は自己達成ともなる。だれとも違うことをせず、その結果、何も進歩が生じない。

5.何がconformityを増強、低減させるか?

A. 単一性

信条が全員一致の場合、集団に反逆することが容易となる(その反逆者がバカでも!)。実のところ、個人が集団と異なる意見を出していながら、それもまた別の間違いということがある(例:彼はAという、集団はBという、そして正しい答えはC)。この場合、conformityは急激に低下する。集団内の異端者は、多数派の影響からの強力な開放効果をもたらす。

B. 集団のサイズ

集団の規模は大きい必要がない。3人グループは16人グループと同等の影響力を持つ。

C. 結束性 Cohesiveness

集団に惹きつけられている成員が多いほど、conformは強力になる。

D. 地位(服従者の)

conformityに対する地位の影響は異なる理論がある。George C. Homansは高地位と低地位の両方の個人が中間層よりconformしにくいとしている。高位の地位の人が逸脱しても、地位が脅かされることがなく、低位の地位の人は不適合によって失われることがほとんどないからだと彼は説明している。しかし中位の人の場合は、高位の人々のように耐えることができず、低い地位の人と違い、地位を下降させる余地がかなりある。この理論を支持する研究がある一方で、他の研究はそれを否定している。

ミルグラム実験では、低い地位のタイプは秩序によく従うことを示している。より高い地位の人々や、有能であると自負のある人は、グループの圧力に抵抗する傾向が大きい。

E. 自己評価

低い自己評価を持つ人は一般的に集団の圧力にたやすく屈する。

F. 文化

ノルウェー人はフランス人よりもconformismである。日本人の生徒はアメリカの生徒よりも少数派の立場を取ることに意欲的である。

E. 広報と監視

行動についての広報と監視が大きくなるほど、conformityは強大になる。ふるまいが監視できないときには、社会的処罰の効果は低くなる。公共の場では、私たちはcomplianceの圧力を感じることが多いが、私的な受容は存在しない。

F. 前例主義 Prior commitment.

一度人々が答えを与えられると、人々はそれに固執する傾向がある。最初に自分の意見を述べる人の影響力は小さい傾向がある。

G. 被害者に対する感情的な距離感

ミルグラム実験では、物理的に被害者に近いほど、命令に従う傾向が低いことを見出した。(ときに被害者は違う部屋にいたり、同じ部屋にいたり、教員が実際に被害者の腕を押しつけるなどをした)他者の苦しむ姿を見ることは、痛みを与え続けることを困難にする。

同様のテーマの研究では、被験者はスイッチを押す必要はなく、別の教員を助けるような役割が与えられた。90%以上の被験者は最大限阻止した。このことは、自分が実際に苦痛を与える立場でなければ、状況に介入する意欲が生まれることを意味している。

ノート:数多の人を瞬時に殺すことができる核の時代において、このことは示唆的である。だれかが提案していたが、大統領が核兵器を使う前に、スイッチを持つ人を殺さなければいけないようにすればいい――そうすれば市の現実に気づくことができる。

H. 権威の正当性

私たちは、科学者たちは責任感を持ち、誠実で完全な存在だと教え込まれている。ミルグラム実験を「助手」が引き継いだとき、「遵守」は20%に低下した。イェールではなくブリッジポートで行われたときは、48%が最大のショックを与えた。

看護師の研究では、同様の「遵守」が見られ、医師の命令であれば過量投与さえ従った。

権威の距離 電話によって命令が与えられたとき、従順な被験者の数は25%に低下した。

人格 実際に確認された効果は僅かだが、研究では同様の人物が状況に耐えることがしばしば見受けられる。
たとえばマザー・テレサとチャーリー・マンソンをあらゆる状況で一緒にすれば、人格はより重要な役割を持つだろう。

困難と曖昧さ

より問題が困難だったり曖昧な事柄の場合、conformityは増強される。問題が困難なときは、私たちは他者を適切な行動に関する情報源とみなす。

資源の割当

資源の分配が公平であれば、complianceを生むための監視は少なくて済む。

罪悪感

何か間違ったことをしたときは、罪悪感を感じるものだ。私たちは他者の要求を守ることによって寛容であろうとする。罪を感じる人々は自発的に善行を行い罪を軽減する方法を模索する。しかし、危害を加える人が被害者以外を助けることもある。被害者との継続的な接触は明白に
危害をくわえる人は被害者との接触で不快な義務感を覚える。

6.社会的圧力への対抗

人がなにかを強要しようとするとき、逆の反応を引き起こすことがある。

A. 社会的圧力があまりに激しくなり自由意志を侵すようになると、しばしば人々は蜂起する

反応reactance=自分の自由な感覚を取りそうとする動機。これは行動の自由が脅かされるときに起き、社会的動乱を引き起こすことがある。

B. ユニークさの主張

人々はだれかと同じとみられることを嫌がる傾向がある。人々がユニークさを奪われたと感じたとき、彼らは反conformityによって個性を主張する可能性が高まる。

7.グループ内の逸脱者に対する反応

非conformity者は残りの成員にとって深刻な問題である。従来の系統を混乱させ、グループの現実概念をおびやかす。もし逸脱を野放しにすれば、最終的にグループのパフォーマンスが低下したり、グループが崩壊さえするおそれがある。どのようにしてグループは逸脱者に対処するか?

A. 集団はconformityを回復しようとする

成員は逸脱者に対し、集団が何を求めるかを説き、要求を説明し、正当化し、彼に従うよう説得することができる。

もしそれがうまくいかなければ、集団は直接的な処罰による脅迫めいたより抑圧的な手段をとる。逸脱者が許されるかどうか、そしていかに厳しいかは、いくつかの事柄による。

1.逸脱者は集団の目標をどれほど阻害するおそれがあるか。集団の目標達成を抑止するふるまい――中心規範への侵害――は迅速かつ重大な処罰がもたらされる。

2.逸脱者の地位が処罰の重要さを決めるが、関係性は単純ではない。ある理論では、高位の人物は集団目標の達成を妨げない限りは、比較的軽度の規範に対する違反は許容される。しかし同時に、重要な規範に違反した場合、低位の人よりも厳しく追求される。

別の言い方をすれば、集団はふつう、高位の人を逸脱者として追求するよりも、見逃すことを好む。逸脱行為が集団目標を阻害する場合は、成員に選択の余地はない。異端者の烙印を押し、重大な制裁を行使する必要がある。この現象は地位責任status liabilityと呼ばれている――高位の成員はより低いメンバーよりも責任ある。

B. 集団は逸脱者を拒絶することができる。

もし大部分の成員が異端者に圧力かける能力や意欲がない場合、拒否することができる。拒否はさまざまな形をとる。

1.追放
2.逸脱者を次の集会に呼ばない
3.心理的孤立化―多数派は逸脱者を無視し、物理的に存在していても交流を拒絶することができる

拒絶や制裁は同時に起こりうる。逸脱に対する拒絶は、成員を「純粋化」することから、集団内の均衡を再強化する手段である。逸脱者が追放された後にあは、conformな成員だけが残る。

C. 集団は自らの位置を替えたり、逸脱者に追従することができる
少数派はときに大多数を揺るがし、多数派になることがある。大部分が少数派の意見を受け容れなくても、反対意見は過半数の自己疑念を増加させ、現状と違う選択肢を真剣に検討するようになる。ガリレオやリンカーン、フロイトは先進的な少数の立場をとり、最終的には大多数に意見を変えさせた。

逸脱者は集団効率の潜在的な脅威である。しかし、個人が独立した行動を取るのは、成員を混乱させたい、自己中心的な目的を追求したいからではない。ただ集団が目標を達成する上での、ルールや手段を変えたいだけである。逸脱者の善意の意図に対し、集団は彼を孤立化し、提案された変更を抑圧しようと試みる。

質問:独立的な振る舞いが大多数の抑圧を招くのではなく、変化をもたらすのはどんなときでしょうか?

解答:集団規範と規範のベースとなる目標を区別する必要がある。もし成員のふるまいが集団規範と異なり、しかし新しい手法が目標達成により適切であれば、変革は成員に受け容れられることがある。もし成員が集団目標を変更しようとすれば、抵抗に遭う可能性は高まる。もし集団が長い間難航したり、目標達成に何度も失敗した場合、変更しようとする努力が好意的に受け入れられるようになる。

イノベーティブな提案は、高位のメンバーによって提案された場合採用されやすい。ある研究では、リーダーが集団の規範と価値に対して介入を最初に示した場合、集団規範に変化をもたらすことが可能であるとする。なぜなら、高位の成員は通常優れた手腕を持ち、集団目標に対してより意欲的だと考えられているからである。

社会変革をもたらす試みは個人だけではなく、活動的少数派active minorityと呼ばれる小集団によって引き起こされることがある。多数派は少数派の独特な意見だとみなしがちだが、互いに支持しあう2人以上のメンバーを頬って置くことは難しい。

少数派に力をつけるためにどうすればよいのか? 活動的小集団によって採用された行動正式はその成功のために重要である。

1.一貫性

いくつかの研究によると、活動的少数派は、時間が経過しても立場が一貫している場合、成員の意見を変える可能性が高い。多数派は成員の態度にかかわらず「遵守」を守らせることができるが、活動的少数派は真に成員を説得しなければならない。一貫性のある立場は、少数民族が明確で、自信を持って、目的を持っていることを意味するため、説得力がある。一貫性のある少数派であれば、過半数はその立場を再考する。

2.自尊心

少数派のあらゆるふるまいは自尊心を示す。――例えば、上座に座るなど。少数派の自尊心は、多数派の自己疑念を生みだす。自己確信はリーダーの素質でもある。カリスマ的リーダーは揺るぎない信念を持っており、成功への確信を持ち、信仰を明確に、単純な言葉で伝える能力を持っている。

3.多数派からの逃亡

自らの疑念を確認した多数派の成員は、それを表現することが容易になり、少数派の立場に変わることさえある。逃亡者はしばしば少数派であり続けるより説得力がある。逃亡はしばしば、雪だるま式に拡大する。

 

(引用ここまで。長いので少し省略した部分があります)

まとめ

どーでしょうか。「conformism」は日本人そのものではないでしょうか。あとカルト宗教の構造にもよく似ている。

おもしろいのが、conformismはイノベーションやクリエイティビティと水と油のようなものだということだ。日本がいまだに工業社会を抜け出せないのは、conformismを捨て切ることができないからだろう。労働者に創造性やイノベーションの能力を身につけさせることは、政治的不安定を引き起こすおそれがある。そのために愛国心教育なんてものが発明された。結局のところ、愛国教育や愛国報道は、conformismを正当化し、美化する目的で行われているのかもしれない。

「日本人の精神」だと思われている事柄の大半がconformismのように思われる。

 

P. S. 外国の社会学者ってちゃんと社会学してて偉いな、と思いました。
あと訳がひどいので全面的に書き直します。暇なときに……。

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