タイトな文化とルーズな文化

日本人ってほんとうはもっとゆるい民族だったのでは……と思う私である。最近は若い人たちの間で日本人論の洗脳が解けて、もっとゆるく生きられるんじゃないのか、と考えている人が増えている気がする。

調べると、各国の「ゆるさ」「窮屈さ」を比較した研究があるみたい。アメリカの心理学者Michele J. Gelfandの「タイトな文化とルーズな文化の違い」。2011年の論文だ。

東大の教授も共同研究していたようで、発表がある。以下そこから抜粋。

社会規範の強さに関する文化比較研究では、厳しい規範があり、それを逸脱すると罰を与えられるような窮屈な文化と、反対に規範が弱く、それを逸脱したときに与えられる罰も緩い文化という軸で国際比較を行った。その結果、日本は33ヶ国中、もっとも窮屈な方から8番目という結果が得られた。

 

(っていうか、そもそも東大が窮屈そうだね?)

日本は33カ国中8位の窮屈さ

Differences Between Tight and Loose Cultures: A 33-Nation Study

日本は窮屈な国

日本より窮屈な国は、トルコ、韓国、シンガポール、インド、マレーシア、パキスタンといったアジア系の国ばかりだ。ノルウェーが入るのは意外だが、ノルウェー人はひどく内向的で、酒を飲むと人が変わることで有名。結構日本人と似たメンタリティなのかも。

シャイである国民性であるため外国人にとっては、ノルウェー人と友達になることはかなり至難の技です。(引用元:超私的見解・ノルウェーと他北欧諸国の国民性の違い

同じ北欧でもいろいろあるようで。

ゆる~い国は

ゆるい国は、オーストラリア、ブラジル、アメリカ、オランダ、ギリシャのような見るからに開放的な国が多い。広い土地・海洋国がゆるい傾向があるようで、海と太陽のイメージが強い。

オランダは大麻が合法で娼婦が公務員。逸脱行為に極めて寛容な国だ。

大麻の取り締まりと関係しているかも

Gelfandは言及していないが、大麻に対する取り締まりは文化的なタイトネスにかなり関係するかもしれない(ベッカーの有名な本がある)。タイトな国である日本もシンガポールも、大麻には厳罰だ。

窮屈な国の特徴

どんな国が窮屈になるのか。Michele J. Gelfandは、以下の要素をあげている。

  • 独裁的な政府
  • 閉鎖的なメディア
  • 強固な警察権力
  • 高い人口密度
  • 食料の欠乏
  • 自然災害への脆弱性
  • 侵略された歴史
  • 伝染病の流行
  • 乳幼児死亡率
  • 宗教行事への参加率
  • 脂肪の摂取量の低さ
  • 低い殺人率

けっこう、日本に当てはまるところがあるかな。

東大の山口氏は「日本に関して言えば、世界の中で他の文化と比べてより窮屈な文化の範疇に入ること、そして、その原因は、歴史的に経験してきた自然および人工的な脅威(たとえば、地震などの自然災害の頻度、人口密度など)の程度が世界の平均よりも高かったことにある、と考えられる」と述べている

「殺人率があがるとゆるくなる」というのが気になるけど、ようは「自殺か他殺か」の違いなんでしょう。

窮屈な社会の人々

タイトな文化では、たくさんのルールが存在し、逸脱に不寛容である。身近な例では、公園、教室、映画館、バス、面接、レストラン、ベッドルームでさえ、タイトな社会では制約された行動をとるのに対し、ルーズな社会では多様な行動が見られる。

全体の傾向としては以下。

  • 自己統制の高さ(衝動を制御する)
  • 秩序を守る、自己監視能力の高さ

まとめ

結構この研究は評判が悪い。「国全体で語るのは無理がある」と批判を受けている。中国はどうとか、インドはどうとか、そもそも広すぎる。アメリカでも州ごとにかなり違いがある。

西海岸はゆるく、南部は窮屈。

調査が主要都市に限られていて、日本の場合は東京と大阪のみ。全国的な調査をしたらまた違う結果が出そうだ。

個人的には、「窮屈な文化」はすなわち「抑圧的な文化」なのではないかと思っている。まあ、タイトって縛られるって意味だから同語反復なのかもしれないが。

最近の実証的な研究では「日本人は集団主義的ではない」と指摘されているが、「日本の生きづらさ」は文化でも伝統でもなく、結局は「いじめ」――暴力による抑圧的な社会ではないのかな。

それにしては、日本よりタイトなノルウェー人の幸福度が高いのが気になる。もう少し調べてみよう。

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