2019-04-25

あなたの欲望だけを神聖なものとせよ

エゴイズムにハマっている最近です。シュティルナー思想の入門に良い文章を見つけたので紹介します。

原文はW. Curtis Swabey氏の「Stirnerian Ethics」。初出は1931年、L’En-Dehors n誌にて。

No title by Yoshihara Jiro

シュティルナーの倫理

マックス・シュティルナーの「唯一者とその所有」を読むほど幸運だった者はみな、他者、特に労働者に対して彼の教義を教えたいという深い欲望にかられる。私が限られた紙面の中で、その教義を一瞥させようと試みるのはその目的のためである。彼の著書は、彼の思想を説明しようとする人々によってよく理解されているようには思われないのだ。

Eltzbacherが著書「アナーキズム」で述べていたことは正確ではない。彼が第一に言うべきだったのは、シュティルナーは明確さを求めていなかったということ、そして彼が個人主義哲学のジャーゴンを利用していることである。私たちは非常にしばしば、シュティルナーのエゴイズム――虚無主義――哲学を、例えばエマーソンのような個人主義哲学と混同してしまう。

シュティルナーが主張したのは、これが彼の理論の根本的な部分に思えるのだが、自己の所有という教義である。それはいつの日か哲学の偉大な革命をもたらすような大胆な概念であった。本質的にはこうである。「君は君の主人である。君は君の利益のためにはたらく。あらゆる理想を尊重してはならない。あらゆる道徳規範に君の行動を制限してはならない。習慣、義務、道徳、正義、法律を軽蔑せよ。私は神であり、王であり、法である――君の欲求と欲望だけを神聖なものとせよ」。これが彼が虚無主義的表現によって意味するところのものである。「すべては私と無関係である」「君は自らの束縛を信じることを拒絶すれば束縛から解放される。君にとって自己は最も高いものである。何をも尊敬せず、自分自らの神となれ。契約に従うな」。要するに、「私にとって自己以上に敬愛すべきものはない!」。

さて、虚無主義と個人主義の哲学の間には、明白にすべきかなり微妙な差異が存在する。個人主義哲学は言う。「強き個人となれ! 人々よりも自分を高みにおけ! 個人性を発展させよ!」エゴイストまたは虚無主義の哲学は言う。「君には達成すべき義務はなにもない。もし君が強い人間、影響を与える人間、上位に立つ人間となることを望むとすれば、可能な限り、畜群に影響を与え、そうであるなら、強くなれ! 義務としてではなく、特権として」。第一の理論は命令する。「君は超人でなければならない」。第二は言う。「君の望む者となれ」。

シュティルナー主義のエゴイスト――あらゆる道徳を受け入れない者――は同情に自己を制限しない。彼は自らのこころの衝動に従う。彼は権利や財産権を否定する。彼は国家に対する尊敬を培わない、想像できる限りもっとも自由な民主制国家だとしても。彼は自分自身の欲望よりも優れた倫理を認めない。しかし、シュティルナーの思想に団結、同情、兄弟愛に反するものは何もない。シュティルナーは個人を鎖付けるすべてのものからの解放を主張する。彼は解放されたエゴイズムの預言者である。彼は過去の倫理的な戯言を投げ捨て、偶像崇拝者の最期の理想である道徳を見せつけ、こう叫ぶ。「見よ! これは詐欺だ!」。彼はエゴに、宇宙のすべてのエゴに向かって叫ぶ。「あなた方のそれぞれが自らのための真の神なのだ。思うがままになせ」。

クロポトキンとシュティルナーの倫理に本質的な違いはない。前者が単に科学的言語で表現している事柄について、シュティルナーは正確だが混乱を招く形而上的な言葉を用いている。クロポトキンがおのおの個人に、種の善への情熱があると示すとき、彼はシュティルナーの理論を強く支持していることになる。団結の感情が人間の本質に内在する、そうクロポトキンが私たちに保証するまで、私たちは道徳が幻想であり義務であると宣言することに躊躇してきた。クロポトキンの主張により、私たちは種への危険なく、道徳をゴミとして放棄することができる。

シュティルナーの概念によれば、善とは彼を喜ばせるものであり、悪とは彼が憎み嫌うものである。あなたの同情心を傷つけるものはあなたにとって悪であり、したがって、外部から課せられた道徳のあらゆる価値観を絶対的に否定しながらも、私たちは善悪の存在を否定することはできない。

しかし試金石となるのは私、つまりエゴである。血塗られた怪物によってなされた残忍、残虐な殺人が、私の連帯の感情を損ねる行為であるとき、それは悪である。

そして私たちは新しい雄叫びを加える。

これまで、私たちはすべての強力な敵の死に喝采してきた。神、法律の失墜、財産権の破壊。私たちはそれに加えることができる。「道徳の打倒を!」

W. Curtis Swabey

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