2019-11-08

孤独はひとを生かしも殺しもする

以前、「自発的孤独」でHermitary.comの記事を紹介しました。

そこでは、自発的な孤独と非自発的な孤独の違いがテーマになっていました。

私はその境界って曖昧なのではないか? と思っていたのですが、調べてみたところ、最近はその区別をはっきりさせる心理学の試みがあるようです。

Psychology Todayの記事「Motivations for Solitude Explain Why Loners Love Being Alone」より。

2006年、カーラ・ニコルは、孤独への動機スケール(Motivation for Solitude Scale, MSS)の原型を公表した。MSSは「自己決定の孤独(self-determined solitude, SDS)」と「非自己決定の孤独(not self-determined solitude, NSDS)」を四段階のスケールで区別する56項目の質問表だった。MSSの被験者は質問に即座に答える。「私が独りで時間を過ごすのは、……からである」。もっとも最近の調査ではトーマスとアズミティアが14項目からなる簡略化された質問表を用いている。

というわけで、自発的孤独と非自発的な孤独を区別する14項目テスト(Thomas & Azmitia, 2019)を見てみましょう。

14の質問

「私が独りで時間を過ごすのは、……からである」。

この……を埋めて、それぞれが重要であるか考えてみてください。

  1. 孤独は私の創造性を開花させる
  2. 静けさを楽しんでいる
  3. 独りでいると自分の霊性に触れることができる
  4. 自分の感情とつながりを保つことができる
  5. プライバシーを重視している
  6. ほんとうに自分が興味あることに取り組める
  7. 自分がしていることの目的について、洞察を得ることができる
  8. ひとりで過ごしていると元気になる
  9. 他人と一緒にいるとき、不安に感じる
  10. 他人と一緒にいるとき好かれていると感じない
  11. 他人が周囲にいると自分自身になれない
  12. 他人と一緒にいると、自分の発言や行動を後悔する
  13. 他人と一緒にいると落ち着かない
  14. 他人と一緒にいるとき、自分が輪のなかに入っていない気がする

どうだったでしょうか。

テスト結果

  • 1から8までの項目を重視して、9から14を重視しない人→自己決定の孤独(SDS)
  • 1から8までの項目を重視しないで、9から14を重視する人→非自己決定の孤独(NSDS)

以上が結果です。

SDSの人は、ポジティブな理由で孤独にいる人です。孤独でいても「社会的孤立」を感じることが少なく、心理的、精神的、創造的に充足した状態でいられます。こういった人は、孤独な生活を選ぶことで自己受容、人格成長、創造的表現、そして霊的なつながりを促進することができるようです。

一方で、NSDSはネガティブな理由で孤独に追い込まれた人です。孤独感を苦痛に思い、さいなまれる傾向がある。鬱病のような結果に陥ることもある。

SDSは孤独でまったく問題ありませんし、NSDSはなるべく早く社会的つながりを回復した方がメンタルヘルス上良いようです。

終わりに

「自分は孤独に向いている」とふだんから思っている人は、SDSに近い結果が出たでしょう。

日本のネットで見かける引きこもりやネット依存症者たちはNSDSが多い気がします。引きこもってる自分は惨めだとか、毎日が辛い、結婚してあたたかい家庭を持ちたいと彼らは言います。

日本社会は「Taijin-kyofusho」と「Hikikomori」発生の地で、「出る杭は打たれる」抑圧的な社会です。なにか人と違うことをすれば糾弾されます。こういう社会では引きこもる人が多いのは必然とも言えます。私自身、9~14の項目にかなり共感してしまった。

「孤独は悪いものだ」というスティグマは広く浸透しています。孤独を望まない人間を社会が孤独に追い込むとき、たしかに孤独は病をもたらします。しかし、その原因は孤独ではなく社会にあるといえるでしょう。

SDSのように積極的な動機があるなら孤独は必ずしも悪いものではありません。むしろ創造的生活において必要不可欠のようです。

偉大な思想家や芸術家の多くは創造の時期に孤独に過ごしました。孤独な生活それ自体を楽しむ人がいれば、孤独のなかで思想をより独創的にした人がいます。

独りでいられる能力の発達は、脳がその最良の状態で機能するためにも、個人が最高の可能性を実現するためにも必要である。人間は容易に自分自身の最深部にある要求や感情から遊離してしまう。学習、思考、革新、そして自分の内的世界への接触を維持すること、これらはすべて孤独によって促進されるのである。(アンソニー・ストー「孤独」

自発的孤独と非自発的孤独の区別は重要であると思います。SDSを無理に社会の中にひっぱりだしたり、「勝手に引きこもってるだけだ」とNSDSを放置することは、悪い結果をもたらすでしょう。

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